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「労働者に責めに帰すべき事由がある」場合とは、職務遂行能力がない(能力不足)けがや病気(私傷病)で、当初の約束どおり働くことができない、出勤不良などの労働契約違反があった場合です。
このような事由に基づいて行う解雇を、狭義の意味で普通解雇(広義の意味では整理解雇も含む)といいます。
普通解雇について裁判所は、会社の解雇権の行使が法律と判例との間に矛盾が生じてしまったのはなぜか?日本では原則として、法律は解雇自由、しかし判例では解雇権濫用の法理が確立されているために解雇不自由ということになっています。
なぜこのような矛盾が許されているのでしょうか?日本は法治国家です。
国会で定められた法律によって国が運営されています。
裁判所といえども国家の一機関にすぎません。
憲法16条3項にも、「すべて裁判官は、その良心にしたがい、独立してその職務を行い、この憲法および法律にのみに拘束される」と定められています。
法律と雇用システムの関係一般に労働者は、特定の企業と労働契約を結んで労務を提供し、その見返りとして賃金を得て生活します。
主観的良心ではなく、客観的な法の良心、法の精神と理解すべきだともいわれています。
だとすれば、裁判官が下す判決は、成文法と一致しなければならないはずです。
では、なぜ法律と判例は矛盾してしまったのか、それは、雇用社会というものが、法律と判決の中心に位置しているからです。
そしてこれが、解雇をめぐる問題を考えるうえでの最大のポイントといえます。
雇用社会のトラブルを裁定して結論を下すもの。
「終身雇用制」とは、長期雇用を前提として、雇用した社員に社員教育や人事異動を通して社内キャリアを身につけさせ、キャリアに応じて仕事を与え、賃金を支払うというシステムです。
その間、年功序列によって賃金も上昇し、仕事の内容も高度になっていきます。
そして、このシステムにより、特別な経営上の都合がない限り契約は解消しない(長期雇用を約束する)というルールがつくりあげられたのです。
当然、判決も雇用社会に対応していくことになります。
判決とは、雇用社会のトラブルを解消するためのものだからです。
こうして、日本は法治国家でありながら、解雇については法律と判決が矛盾する立場をとることになり、整理解雇の4要件を使用者に求めたり、普通解雇事由があっても、それだけで解雇は認められず、解雇事由がある労働者を企業から放逐する合理的理由があるか、社会的相当性があるかということが問われてきたのです。
法律と判例との間に使用者は、労働者の労務提供を手段として、モノやサービスをつくりだして消費者に提供して利益を得ます。
そして、使用者と労働者間の労働契約が適正に運営されるために、公的機関が助言や補助、規制を行っています。
このような営みの社会が「雇用社会」です。
一方、「法律」とは、雇用社会のルールや指針を決めたものです。
雇用社会で起きたトラブルを解決するための裁定、結論を下すのが判決、つまり裁判例(判例)です。
雇用社会が法律にしたがって解雇自由の世界にあり、判決も解雇自由を基本とする、これなら矛盾は生じないわけです。
ところが、日本の雇用社会は、解雇自由の原則に基づいてきたわけではありません。
日本の雇用社会は、昭和40年代から40年代前半にかけて、終身雇用制や年功序列制という雇用慣行・雇用システムを確立してきたといわれています。
法律と判決の矛盾を考えるには、まずこの日本特有の雇用システムを理解しておく必要があります。
終身雇用制と年功序列制は日本の雇用社会が、昭和30年代から40年代前半にかけて長期雇用を前提として社員を雇用社員教育や人事異動を通して社内キャリアを身につけさせる。
身につけたキャリアに応じて仕事を与え、賃金を支払うその間の賃金は年功序列によって上昇し、仕事の内容も高度に判決(裁判例や判例)は、雇用社会のトラブルを裁定し、結論を下すもの。
当然、雇用社会に対応したものでなければならない法律と判例との間に矛盾が生じてしまったのは、この終身雇用制と年功序列制が原因。
平成10年6月、「産業構造・企業活動の変化や労働市場の変化が進むなかで、わが国の経済社会の活力を維持・向上させていくため、労働契約期間の上限の見直しや解雇にかかる規定を整備するほか、裁量労働制にかかる手続きの簡素化等所要の措置を講ずる」ことを目的として、「労働基準法の一部を改正する法律」が成立、同年7月4日に公布されました。
この改正で、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(16条の2)という解雇ルールが明確化されました。
解雇ルールが明確化された背景には、解雇紛争の増加があります。
労基法は、解雇について、前の予告義務(16条JP旧)、業務災害による休業中および産前産後の休業中とその後間の解雇禁止(16条&PW)の規定を定めていますが、解雇についての一般的な規定は定めていません。
そのため、解雇をめぐる争いが起きた場合は、これまでの裁判例等をもとに、裁判所がその解雇の有効性を判断して解決するという手法がとられてきました。
ところが、長引く不況やデフレ経済へのシフトなどにより雇用環境が一段と厳しさを増し、それにともなって解雇をめぐる争いも増加してきたため、解雇紛争を未然に防ぐ必要性が高まってきました。
そこで、解雇ルール「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となる」ことが明記された。
労基法89条で就業規則の必要記載事項と定められている「退職に関する事項」について、「解雇の事由」を含めることとされた。
解雇予告後の解雇理由の明示請求権(22条2項本文).‘解雇理由について、「労働者が解雇予告を受けた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合において、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない」として、使用者の解雇理由の明示義務が明記された。
平成16年1月1日から施行。
解雇ルールの明確化は、裁判所がこれまでに確立してきた解雇権濫用の法理を法制化したもので、裁判実務そのものが変わるわけではありません。
一般に、民事裁判では、その立証責任は、権利の濫用を主張する側が負うと解されています。
しかし、解雇権の濫用について争う場合は、立証責任にかかわりなく、使用者側が主張立証し、労働者側がそれに反論するというのが、これまでの裁判実務でした。
政府案では、この裁判実務が変わってくるおそれがありました。
そこで、解雇ルールが明確化されても、現在の裁判実務が変わってくるものではないということを示すため、次のような附帯決議が付されています。
「労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成年6月日)「本法における解雇ルールの策定については、最高裁働者を解雇することができる。
」という部分が削除され、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定になりました。
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